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<リアルガンヒストリー>
第二次世界大戦終結後、各国は西ドイツの軍備増強を制限していた時代、1951年に西ドイツの連邦国境警備隊(Bundesgrenzschutz、BGS)はイタリア製のベレッタM38/49サブマシンガン“MP1”を採用しました。
しかし、ソ連と東ドイツの軍事行動が頻繁になり、西ドイツはその緊張に対応するべく1955年にドイツ連邦軍(Bundeswehr)を創設しNATOに加盟。当時はアメリカ軍の45口径M3サブマシンガンなどの第二次世界大戦の銃を採用していたため、弾薬口径の統一ができなかったことから、その年に西ドイツの国防長官は次世代サブマシンガン計画を決定しました。
共産主義拡張に直面している西方諸国は、積極的にこの計画の競争入札に参加し、イギリス・スウェーデン・イタリア・イスラエル・ドイツなど各国の最新鋭のサブマシンガンが候補となりました。一連のテストを経て、スウェーデンのCarl Gustav M/45が最高の評価を獲得しましたが、結果が公表された翌日、西ドイツの国防長官はIMIの営業代表と密会し、その二週間後にドイツ連邦軍はイスラエル製のサブマシンガンを採用することを公表。これが“MP2”です。
この突然の採用変更については以下の二つに起因していると推測されます。第一に、ドイツ連邦軍が希望する納期に間に合うこと。第二に、西ドイツはこの契約を通じて未だ国交がないイスラエルとの外交関係を改善することを望んでいたのではないかということです。
当時の契約によると、MP2は固定式の木製ストック仕様で、MP2A1は折り畳み式ストック仕様です。グリップに設置されているセレクターレバーは、ドイツ語でD(Dauerfeuer 連発)、E(Einzelfeuer 単発)、S(Sicher 安全)を表示しています。1960年、イスラエルはドイツ連邦軍が提出した安全要求通り、安全装置を掛けている状態ではコッキングできない設計に変更しました。同年の7月、コッキングレバーを大型化しドイツ連邦軍が防寒グローブを着用した時でも操作できる要求を満たしだけでなく、コッキングを行っている途中、誤ってコッキングレバーを放した場合でもボルトは元の位置へ戻り、暴発しないように解決しました。つまり、レシーバーカバーでリトレティング安全装置を追加しました。更に、1960年代の末期で、全面的に32発マガジンへ更新しました。
ドイツ連邦軍の各部隊に使用されているMP2は、2006年からMP7へと移行していきますが、戦車兵・砲兵・機械化歩兵や装甲車に配備されているサブマシンガンはMP2A1のままでした。
2016年時点で3000丁余りのMP2A1が使用されており、2018年の演習時でもまだMP2A1を使用している戦車兵が見受けられます。MP2はドイツ連邦軍の為に60余年も奮戦した功労銃と言っていいでしょう。
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